— Iasa Global WEBサイト掲載記事の紹介 第2回 —
Iasa日本支部では、ITアーキテクトとアーキテクチャに一層の関心を持って頂くため、Iasaグローバル(本部米国)のWEBサイト上に掲載されている有用と思われる投稿記事の日本語訳を今年2月から配信しています。今回はその第2回目の翻訳記事になります。
この配信にあたり、読者の皆様に予め翻訳品質の点でご了承頂きたい点があります。
翻訳にあたっては、英語原文をGoogle社提供の無料翻訳機能を利用し、日本語訳の用語の間違いと読みづらい個所を中心に校正と編集を行なっています。従って、翻訳文は原文の主旨が理解出来るレベルの翻訳である点を了承の上ご利用下さい。
Iasa Global米国本部のWEBサイトには、皆さんにご紹介したい投稿記事も多くあるためこのシリーズを楽しみにして頂ければと思います。
【第2回目の投稿記事サマリー】
アーキテクトでもあり、アジアの国々のマーケットとグローバルでのアーキテクチャ関連の動向とアーキテクト育成に詳しいAaron氏による「デジタル・トランスフォーメーション」についての記事です。
今日のほとんどあらゆる業界での急速なデジタイゼーションの中で、現在のIT組織が作りあげてきたITシステムの問題点と課題に言及しています。その課題を打開するための方法としてデジタル・トランスフォーメーション力、IT組織のコスト・センターからの脱皮の取組みの重要性、アーキテクトの役割とその重要性が紹介されています。
原文著者紹介:Aaron Tan Dani氏はデジタル変革のEA分野において特にアジア地区で広く尊敬されているリーダーであり、デジタル変革EAの採用を積極的に推進しています。現在はシンガポール・コンピュータサイエンスEA-SIG会長、Iasa Asia地区会長、及び、ATDソリューション社のCEO兼チーフアーキテクトを担っています。
■ デジタル・トランスフォーメーションには何故エンタープライズ・アーキテクトが必要か?
Why Do We Need Enterprise Architecture in Digital Transformation?
記事原文ソース:https://www.iasaglobal.org/why-do-we-need-enterprise-architecture-in-digital-transformation/
■ ITの進化:あの頃、そして今日
1980年代から、IT部門は労働者の生産性を向上させ、電子メールからインターネットに至るまでPC化へと全てがスムーズに使える様にする事しか期待されていませんでした。その当時はまだコンピュータ化や自動化の範囲の時代であり、プロジェクトと言えば技術に重点を置いていました。新しいアプリケーションが登場するたびに、新しいハードウェアとソフトウェアが購入され、また、ビジネス達成したい事をITが尋ねる前に既に時間、リソース、予算も決定され割り当てられていました。
ITとビジネスの間に大きな隔たりがあり、ビジネス目標を達成できないITプロジェクトは60%以上存在していました。IT予算の90%がこれらの高価なITシステムを維持するために費やされたため、ITはコスト・センターとしての評判を得るようになりました。長年にわたり、各アプリケーションはハードウェアとソフトウェアの独自のシステムを必要としていましたが、これらのシステムはそれぞれ何百人から数千人のビジネスユーザーが利用しており、想像される通りあらゆる方向に様々なアプリケーション導入の流れが発生してしまいました。
時間の経過と共に経形成されたこれらの相互の依存関係のネットワークをトレースしたり管理したりしたことは無く、やがてITはビジネスに支障をきたすという評判を得るようになりました。IT全体への影響とビジネス継続性に影響を及ぼす可能性があるため、アプリケーションをアップグレードしたり変更したりする事がほぼ不可能な状況になってしまいました。
でも特に、「専門職の定義」これはレガシー・アーキテクチャの複雑さに起因します。維持管理が非常に困難でコストもかかりました。組織内の各ITリソースの可視性やトレーサビリティも無いため、ビジネスの要件に対するアジリティ(俊敏性)とビジネスへの即応性が欠如していました。
その結果、ビジネスは素早く対応する必要があるため、シャドーITと言う形でビジネス自らが問題解決にあたりクラウドストレージやソーシャルメディア・アプリケーション、クラウド・アプリケーション等のビジネス独自のソリューション調達するようになってしまいました。ビジネスはもうIT部門を待つことが出来なくなったのです。
残念な事にこれらのその場限りの努力は全て複雑で難解な毛玉の様なアーキテクチャを更に悪化させ、デジタル・エンタープライズに変身したいと望む企業が増えているにも関わらず、この複雑さの傾向が消滅する兆しはまだ見えていません。
■ デジタル・トランスフォーメーション力
今日、ますます多くの企業がその顧客や視聴者にサービスを提供する際にはデジタル戦略が必要であるという事実に気付き始めています。
デジタルプランニング、デジタル戦略、デジタルツール、デジタルサービス、デジタル導入、更に魅力的な事も含むこれらすべての期待 – 即ち、デジタル・トランスフォーメーションは、繰り返しになりますがデフォルトではCIOとIT組織が先ずは担当する事になります。
デジタル・トランスフォーメーションがITイニシアチブであるという考え方は、真実からそれ程遠いものではありません。デジタル・トランスフォーメーションはビジネス主導のイニシアチブであり、テクノロジーはビジネスの目標を促進するためにのみ存在します。
企業は、今日のデジタル・ビジネス分野で競争力を維持するために、デジタル・トランスフォーメーションの力を活用する必要があります。このような現実とビジネスがITに対してこれまでかってなかった程の高い期待が寄せられている事からすると、企業のITはこれまでとは異なったどんな方法で行うのでしょうか?
ある一つの事が言える事は確かです。 それは、ITプロジェクトの予算と期限を設定した過去のやり方はもはや通用しないという事です。そうする事は、質の低いデータをインプットしてそのアウトプットを得る効果しか得られません。適切に把握されていないビジネス要件は、価値をもたらさない浪費となるITプロジェクトに繋がります。
私「火災」という別の問題を引き起こす「企業の火災消防団」として機能させることを止め、変革するデジタル能力とベネフィットを企業にもたらす最も戦略的な利点となるようにする必要があります。ビジネス・レイヤーからテクノロジー・レイヤーまでの双方向の完全なトレーサビリティを備えたトラブルシューティングを可能にするデジタルエンタープライズ・アーキテクチャマップの作成が必要です。エンタープライズ・アーキテクチャのプロセス全体は、ビジネスの価値創造と効率向上の領域を特定します。
これは、デジタルエンタープライズ・アーキテクトの任務の1つです。ビジネスにIT価値をもたらすためです。この任務はエンタープライズ・アーキテクチャ・オフィス(EAO)内のグループのアーキテクト達が協力して作業する必要があります。
実際、今日のデジタル時代を乗り越えることが出来る企業や政府機関の機能が欠けているのは、エンタープライズ・アーキテクチャ・オフィス(EAO)です。このEAOは、企業のデジタル化の取り組みの一環として理想的にITプロジェクトの実施につながるプログラム/プロジェクト・マネジメント・オフィス(PMO)へのインプットを提供する重要な役割を担っています。
私の意見では、EAOはビジネスアーキテクチャ、情報アーキテクチャ、ソフトウェアアーキテクチャ、インフラストラクチャー・アーキテクチャ、ソリューション・アーキテクチャの各ドメインの専門領域において、その適性を持っている有能なエンタープライズ・アーキテクトのスタッフが揃っている必要があります。
■ プロフィット・センターへの転換
これまでにITがコスト・センターとしての評価から変えて行く必要がある事は非常に明白です。この評価は良いことよりも害を及ぼすことが多く、ITは通常経済の停滞期に最初に大幅な予算の削減をされると同時に、「より少ない資源でより多くを行う」と事を期待されています。
EAOの基に適性なエンタープライズ・アーキテクトを持つことによって、ITに対するこの認識はプロフィット・センターに変わります。事実、情報技術によって可能になる革新的なビジネスモデルの例が数多くあります。そして、これらの革新的なビジネスモデルはそれぞれの業界を混乱させており、より多くの確立された従来のビジネスがどの様にテクノロジーを活用しているのかを再考しなければなりません。
明らかにITは実際のビジネス価値を生み出しつつ、他のビジネスが反応するべきレベルにまで影響を与えています。もちろん、多くの人がITを他のセールス、製品、マーケティングなど既存のビジネスの機能と同じようにプロフィット・センターにする方法を尋ねる事でしょう。
この質問に対する答えは、エンタープライズ・アーキテクチャ・オフィスがエンタープライズ・アーキテクチャ開発プロセスの中で、関連するフレームワーク、表記法、および方法論を使用して、あらゆるIT投資の真のビジネス価値を実証するその能力にあります。
幸いにも、組織のための新しい革新的なビジネスモデルを可能にすることは、必ずしもより多くの資金を捻出することを意味するものではありません。企業が必要としているのは、効率向上の領域を特定して既存のIT資源を最適化することです。
エンタープライズ・アーキテクトは、戦略的に計画されたIT投資を通じてより多くのビジネス価値を提供しながら、その組織が現在の場所から将来のあるべき状態へ成し遂げなければならない旅 − それは俊敏で、効率的で、生産的で、企業の成熟度に於いて発展をしている状態 — の地図を描く事なのです。
■ 今日特にエンタープライズアーキテクトが必要な理由
エンタープライズ・アーキテクトは、企業の設計図とブループリントをビジネス価値の実現に向けてマッピングを行います。エンタープライズ・アーキテクトは、もし問題や課題が発生した場合はいつでもデジタル・エンタープライズ・アーキテクチャ・マップを使用して問題の原因を追跡し、調整の効果を可視化することができます。
この驚異的なデジタル時代のチャンスと挑戦の中で、特に適切さと競争力を維持するためには、企業はエンタープライズ・アーキテクチャを独自の「デジタル文化」として取り入れ、継続的かつ戦略的なデジタル・トランスフォーメーションを行う必要があります。
今日どのビジネスに於いても、これはエンタープライズ・アーキテクトにとっての仕事であり今日のエンタープライズ・アーキテクチャ・オフィスの目的でもあります。
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著者について:Aaron Tan DaniはデジタルEAのリーダーであり、デジタルEAの採用を積極的に推進しており、現在はシンガポール・コンピュータサイエンスEA-SIG会長aarontan@scs.org.sg、Iasa Asia会長Pacific aarontan@iasahome.orgとATDソリューションのチーフアーキテクトaarontan@atdsolution.com
記事英語原文: By Aaron Tan Dani
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