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執筆者の写真塩田 宏治

コラム BTABoK Maturity Model ~価値ベースの成熟度モデルの概要~


今回のコラムでは、BTABoKの成熟度モデルについてご紹介します。

成熟度モデルは、組織のアーキテクチャ・プラクティスと、デジタル・アドバンテージに対する影響を評価するために、BTABoKにおいて新しく盛り込まれました。成熟度モデルは、アウトカム、エンゲージメントの成熟度およびアーキテクチャ実践者(チーム)の能力の3つの観点の理解からとらえることができます。


本コラムでは、特に価値ベースの成熟度モデルについて、その成熟度の評価項目および成熟度レベルの概要を概説します。

本成熟度モデルでは、価値のデリバリーの観点から組織を見ており、アーキテクトがチームとして機能し、アーキテクチャのフェーズを経ながらプログラムが成長することを評価しています。以下に評価項目の概要を示します。


エンゲージメント

アーキテクトとエンタープライズの相互作用。アーキテクトの専門領域やその活動の適用。


シェアホルダにおける投資

プロフィットセンタとしての技術への投資の認識と実際の投資。


シェアホルダ価値

創り出されたシェアホルダにとっての価値。


技術コスト

技術の価値のためのすべての要素における新規開発及びメンテナンスのコスト。


技術の価値

技術がどれくらいシェアホルダ価値に対して貢献するかの算出、総額、レポーティング。


プロジェクト&プログラムの成功

プロジェクトの成功と技術の価値との関連に関する測定方法。


戦略との統合

戦略の計画とデリバリーに、アーキテクチャとITがどれくらい含められているか。


パートナー・エコシステム

パートナーにとっての価値とその統合において、技術がどれくらい、またどのような形で含められているか。


組織の満足度

ビジネス目的に向けた技術への支援やアーキテクト等の役割への支援に対する認識や評価。


ガバナンス

戦略ゴールに向けた継続的な実行マネジメント。


 本成熟度モデルは、全体的な成熟度レベルに対し、これらの評価項目それぞれがどのような成熟度を示すかが具体的に示されています。

 

 まず、低い成熟度であるレベル1の場合だと、各項目がどのような成熟度になるか、見てみましょう。

​エンゲージメント

シェアホルダにおける投資

シェアホルダ価値

技術のコスト

技術の価値

初期ゴールが選択され、デリバリーされ、モニタリングされる。適切なスコープの下で、複数の成功がある。

パイロットプログラムは認知されているが、アーキテクチャ・ケイパビリティへの投資は認識できない。

安定的だが最小の価値創出。成功のレポートが見られ始める。

コスト削減の能力を示し、コストセーブした事例も持つ。

利益に対するITの全体的な貢献はまだ小さい。

プロジェクト&プログラムの成功

戦略との統合

パートナー・エコシステム

組織の満足度

ガバナンス

アーキテクトがアサインされたプロジェクトは45-55%の成功。プログラムへのサポートはあまりない。

非常に低い戦略との統合。アーキテクトがアサインされた領域では、ビジネスゴールに対する統合やイノベーションは見られる。

一つ以上の成功事例。技術戦略において、パートナー価値マネジメントとの関係はほとんど見られない。

アーキテクチャが導入されている領域では高いが、エンゲージメントモデル全体から見ると、総合的に低い。

ボトムアップのガバナンスが見られ始める。

図1 価値ベース成熟度モデル レベル1



 一方、高い成熟度を示すレベル3では、各項目はどのような成熟度を示すでしょうか。


エンゲージメント

シェアホルダにおける投資

シェアホルダ価値

技術のコスト

技術の価値

組織のすべてのレベルで活動している。すべての専門領域が導入され、チーフ・アーキテクトはCIOにレポートしている。アーキテクトのキャリアもHRによってサポートされている。

技術戦略に対して完全に認識しており、成長に向けた投資を活発に行っている。

技術グループが、プロフィットセンタとして機能しており、重要な利益貢献をしている。

価値に対してコストは60-75%である。

価値デリバリーが組織のコアとなる。すべてのビジネス戦略が技術価値のゴールを持っている。

プロジェクト&プログラムの成功

戦略との統合

パートナー・エコシステム

組織の満足度

ガバナンス

75%以上で繰り返しプロジェクトが成功している。プログラムの成功も非常に高い。

戦略計画と実行のあらゆる側面でアーキテクトが関わっている。計画に必要なアーキテクチャ・モデルがすべて作られている。

パートナー・チャネルを通して技術戦略マネジメントが行われ、強いパートナー・エコシステムが見られる。

技術の貢献とパートナーシップにおいて組織の高い満足度。社員は技術を高く評価している。

ボトムアップのガバナンスが、戦略目的の継続的なマネジメントと統合されている。

図2 価値ベース成熟度モデル レベル3




 BTABoK3.0のサイトでは、レベル1と3の間のレベル2における成熟度も解説があり、より詳細な学習をされたい方は、是非以下のサイトへアクセスして内容をご確認ください。

https://btabok.iasaglobal.org/maturity-model/

 

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