11月4日(金)開催予定のIasa日本支部アニュアル・カンファレンスにて、JFrog様より「アーティファクト管理の3つのポイント」と題して講演いただく予定です。
そこで今回のコラムでは講演に先立ち「アーティファクト」について簡単にまとめてみたいと思います。
まず言葉の意味ですが、アーティファクトとは、一般的には「人工物」や「工芸品」を指します。
図1:一般的なアーティファクトの意味 (人工物や工芸品)
一方、ITABoK V2においてアーティファクトという言葉は各所で使用されており、文脈によって様々な意味を持ちますが、用語の定義としては以下になります。
アーキテクチャ・アーティファクトとは
モデル、モデルエレメント、または、ドキュメントのような、アーキテクチャ・プロセスの有形な生成物。これには、議事録、ダイアグラム、根拠の説明書、ホワイトボードセッション、意思決定のトレーサビリティを提供する他のあらゆる成果物が含まれる。
なお、概念の混乱を避けるために先に申し上げますが、後述するソフトウェア・アーティファクトはアーキテクチャ・アーティファクトの一部です。
図2:アーキテクチャ・アーティファクトとソフトウェア・アーティファクトの関係
ITABoK V2では、アーティファクト管理の重要性が語られています。それもそのはず、ITABoKはITアーキテクチャの重要性を語ることが主な目的の1つであり、アーティファクトはITアーキテクチャを構成する重要な要素と位置付けられているためです。
ITABoKでは優れたITアーキテクチャによって、最適な品質のITシステムが生まれると述べられています。言い換えるとアーティファクトの品質がITシステムの品質を左右するということです。
図3:ITにおけるシステム、アーキテクチャ、アーティファクトの関係
DXが叫ばれる昨今において、目の前の課題解決のためにデジタルツールを導入することも大事かもしれませんが、最適なITアーキテクチャの検討が不十分なまま導入してしまうと、後々ITシステム全体に悪影響を与えかねません。将来のビジネス環境やニーズ、ITテクノロジーの変化に対する柔軟性を確保するためにもITアーキテクチャデザインを考えることは非常に重要なことです。
またDevOpsが徐々に浸透する中で、ITアーキテクチャの構成要素は多様化および複雑化し、ITシステムはバージョンアップを繰り返しながら進化していきます。そういった中でいかにしてアーティファクトを管理するかが非常に重要になってきます。
特に最近はITの構成要素のうちソフトウェアが占める割合が増加しており、それが変化のスピードを向上させる要因にもなっています。この流れが続くと仮定すると、ソフトウェア・アーティファクトの管理の仕方についての再検討も必要になることがあろうかと思います。
冒頭にご紹介したJFrog様の講演では、ソフトウェア・アーティファクトの具体的、実践的な管理の仕方についてお話いただく予定です。
以前JFrogの方にお話を伺った際に、JFrogというツールは単にバージョン管理やデプロイの自動化といった機能的な話に留まらず、製造業における在庫管理、品質管理といった上位概念に近いコンセプトが実装されたソリューションという印象を持ちました。(図4参照)
図4:アーティファクトのライフサイクル (引用元:JFrog Japan Blog)
アーティファクト管理というのは一見地味な活動に見えるかもしれませんが、デジタル社会においてはその品質管理の精度がいろいろなところに影響してくると思われます。
もしご興味ございましたらご参加いただけると幸いです。参加申し込みはこちら。
ご一読いただきありがとうございました!
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